測定された放射能は基準以下なのに、「風評被害」で値段が下がってしまった作物を破棄せざるを得ない北関東の農家は気の毒です。
当院もむかし「風評被害」にあったことがあります。
数年前、同じ商店会の〇〇屋の犬を診ていました。僧帽弁閉鎖不全症末期で、静かな最期を迎えることができなくて、飼い主に安楽死を懇願されました。飼い主と犬の苦しみは、十分理解できたので、いやな仕事でしたが、求めに応じました。
数ヵ月後、仲間の獣医師から「お前のところ、〇〇屋の犬を殺したって、なんだか悪い評判がたっているぞ」と聞かされました。親しい顧客からも同様のことを聞きました。それを裏付けるかのように、今まで来ていた近隣の顧客が、何人か来なくなりました。
これって「風評被害」? 
「犬の安楽死」→ 「犬の死」→ 「犬を死なす」→ 「犬を殺す」
伝言ゲームのように言葉が一人歩きをして、どんどんニュアンスが変わっていたようです。
また、近隣の飼い主の心理としては「近くに動物病院があるのに、そこに行かないで、遠くの病院に行く人がいる。あの先生、やっぱり藪医者じゃないの?」とでも思うのでしょうか。
これとは、逆のパターン「風評受益」というのもあります。
例えば、府中市や日野市の少し離れた地域に当院のファンが何人かできると、不思議なように同地域の顧客が増え、当院顧客の島ができます。動物病院を一つ二つ間に挟んだ地域に、このような現象が起きます。中間にある動物病院の先生は、私からみて決して悪い先生でないのに、わざわざ飛び越していらっしゃいます。とてもありがたいのですが、これって「風評被害」の逆の現象ですね。
長い期間で考えてみると、「風評被害」もあれば「風評受益」もあるわけで、悪くてもプラス、マイナス0。私としては、顧客の評判というのは、誠実に仕事をこなしていれば、自然と全体のプラスは増えてくると考え、あまり気にしない事にしました。